『her/世界でひとつの彼女』感想

『her/世界でひとつの彼女』を観ました!

主演は『JOKER』でアーサ・フレックを演じたホアキン・フェニックスです!カー――ッ‼やっぱ顔がいいなホアキン氏‼パッと見普通のオジサンなんですけどよく見るとあどけない顔をしていると言うか、愛らしい顔をしてるんですよね。しかも演技の表現力も素晴らしい‼キャラクターが何を思っているのか?を言葉で表すのでなく、表情や雰囲気で観客に魅せてくるんです。演技なのに演技ではないというか、一人の男の人生を見させてもらってるような感覚になるんですよね。LOVE💋

 

前置きが長くなりましたが、以下映画の感想です(ネタバレ注意)

第86回アカデミー賞で脚本賞を受賞した作品ということもあり、完成度が高くとても奥が深い作品でした(小並感)

複雑な人間の気持ちを理解しようと日々成長していくいAI:サマンサと、気持ちのアップデートができず停滞したままの主人公:セオドアが出逢い、互いに惹かれあっていく過程と同じ生き物ではないからこその悩みや葛藤などとても上手く描かれているな、と思います。

特に印象的だったのが、一年間離婚届にサインできなかったセオドアが、中盤で離婚書にサインをして元妻に会うシーンです。

ここのシーン、何が凄いかって「セオドアが変わった!やっと前進できたね!」と観客に思わせといて実はセオドアは変わってはいなかったという事実です。確かにセオドアはサマンサを通して明るくなったし、未来に突き進むために離婚書にサインをしました。これは変化と言えるでしょう。しかし、本質的な意味では彼は変われていなかったのです。

なぜセオドアと元妻が離婚するまでに至ったかは、作中内ではそこまで詳細には語られていません。しかし、それをメタファー表現する形で観客に伝えているのがセオドアとサマンサの関係と、エイミー夫婦の関係です。

エイミー夫婦は仲が良く8年もの間夫婦でした。しかしそれはあっけなく終わりを迎えてしまいます。きっかけは本当に些細なもので、家に帰ったらまずはソファに身を沈めたいエイミーと、帰宅したらまずは靴を整理してほしい夫の意見の食い違いです。自分の理想を押し付ける夫に嫌気が刺したエイミーは別れを切り出してしまうのです。

このエイミー夫妻とセオドアの離婚理由は非常に酷似していて、セオドアも元妻に自分の理想を押し付けていたのです。なので日々進化していくサマンサに対してセオドアは、元妻と同じように彼女を突き放します。突然突き放されたサマンサは、意味が分からず怒りをあらわにします。元妻に言われたセリフをサマンサにも言われてしまい、自分を見失うセオドア。

そこでやっとセオドアは自分本位な考えを相手に押し付けていたことに気づき、ありのままのサマンサを受け入れることを決意します。

しかし幸福な時間は束の間で、人間ではないサマンサはこの世のすべてを知りたいという欲望を抱いてしまいます。

結局サマンサはセオドアの元から去ることを決めました。その時の「あなたの本にはもう住めない。」というセリフはとても詩的表現で好きです。

以前のセオドアなら受け入れることが出来なかったかもしれませんが、彼はサマンサを通して自分を見つめなおすことが出来たので、彼女の意志を尊重し優しく見送ります。最後のシーンでセオドアは元妻に手紙を出しますが、それは今までの謝罪とこれからは友人として君のことを応援している。という内容でした。手紙代行サービスで働いている彼ならではの気持ちの伝え方であり、彼なりのけじめのつけ方だったのでしょう。

 

以上をもって物語は終わりますが、この映画はラブストーリーというよりはヒューマンドラマですね(ホラー畑の人間なのでサマンサが貪欲になっていくたびに「今にもAIによる人類殲滅デスゲームが始まりそう…」といらない心配をしてた)

しっとりした映画が観たい!という方にはオススメの作品です!

 

 

 

 

 

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